会津中央病院のがん治療

がん治療の主な方法について
がんの治療は外科手術、化学療法、放射線治療等の治療方法を組み合わせて行われます。日本ではこれまで外科手術ががん治療の中心にありましたが、近年は化学療法や放射線療法が進歩し、がんの種類やステージ(病期)によっては手術と変わらない効果が認められています。また、医療研究の発展により免疫療法等の新しい治療法も確立され、がん治療は寛解から完治を目指して取り組んでいます。
手術療法
手術療法は、メスでがん組織を切り取ってしまう治療法です。がんの組織だけを切ろうとするとがん組織を取り残す心配があるため、通常はがん組織の周りの正常組織を含めて切除します。完全に切除できればがんは完治するので、体内からがんを直接取り除くことができる外科手術は、高い治療効果が期待できます。
内視鏡治療

内視鏡による検査・手術は、心身の負担や痛みが少なく、早期の社会復帰やQOL(生活の質)の維持向上が可能なものとして普及が進んでいます。
最近は内視鏡技術の発展で、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)等、小さながんは内視鏡での切除が可能になりました。昔のように全身麻酔をかけて胸やお腹を切らなくても済むため、手術療法の中で最も低侵襲的な治療です。
腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は、炭酸ガスで膨らませた腹部に4~5個の小さな穴をあけ、そこから筒状のカメラ(腹腔鏡)と専用の手術用具をお腹の中に入れて行う手術方法です。腹部の内側をモニター画面に映し出した状態で手術します。腹部を大きく切り開く必要がないので、身体の負担が少なくて済みます。
内視鏡室

内視鏡センターでは高レベルの医療を提供できるよう最新の設備を整え、疾患ごとの検査や治療を細分化し、各疾患のスペシャリストが専門の検査治療を行っています。そのため、検査や治療における処置時間や成功率、診断が的確です。家族控室では、実際の治療の様子をリアルタイムで見ることができ、透明性の高い医療に努めています。
手術室

イーストセンター棟の中央手術室には10の手術室が設けられ、一般の手術の他、内視鏡手術や医療ロボット「ダヴィンチ」を用いた手術、移植等への対応など、将来を見据えた手術にも対応できる設備を有しています。また、中央材料室も併設されているため、手術材料等の受け渡しや滅菌作業もスピーディーに対応可能です。さらに、手術オーダーシステム、麻酔管理システム、手術室映像システム等、ハード面・ソフト面ともに充実しています。
低侵襲かつ高度な手術環境を整え、各スタッフが情報を共有し、安心で安全な手術管理を実現。停電時や災害時においても、専用非常用発電機から電源が供給されるので、手術をストップすることなく行うことが可能です。
化学療法
がんの化学療法は、がん細胞の増殖を防ぐ抗がん剤を用いた治療法で、がん細胞の増殖や成長を抑えたり、転移や再発を防いだりする治療です。抗がん剤療法には、内服や注射で全身にくまなく薬剤を行き渡らせることにより広い範囲に治療の効果が及ぶことが期待できます。
がんの種類によっては、第一選択の治療法として抗がん剤治療を行うことがあります。また、手術や放射線と組み合わせて補助的に抗がん剤治療を行うことや、手術前にがんを小さくするため抗がん剤治療を行うことがあります。
分子標的薬

分子標的薬は、がん細胞などの表面にあるたんぱく質や遺伝子をターゲットとしてがん細胞を効率よく攻撃する薬です。従来の抗がん剤は、がん細胞そのものを標的としたものではなく、がんの特徴である分裂を繰り返して増殖する細胞を攻撃する薬でした。そのため、正常な細胞も攻撃してしまい、副作用も多く出てしまうというデメリットがありました。近年は研究が進み、がん細胞が増殖や転移をするのは、異常な遺伝子からできた物質が悪さをしているためであることがわかりました。分子標的薬はその物質の働きを抑え、細胞の増殖や転移を防ぐ治療方法です。
免疫チェックポイント阻害薬
がんの治療において「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる新薬が登場し、世界中で注目されています。薬によってがん細胞を直接攻撃するのではなく、免疫機能を活性化させ、がん細胞を免疫細胞が攻撃することで抗腫瘍効果を示す治療となります。通常、がん細胞ができると体内では、キラーT細胞という免疫細胞ががんを攻撃します。しかし、がん細胞は攻撃されないように、免疫細胞にブレーキをかけるPD-L1という物質を作り出し細胞を守ります。そこで、阻害薬によりPD-L1との結合を阻害することで、がん細胞により不応答となっていた抗原特異的T細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果をもたらします。
外来化学療法室

会津中央病院の化学療法室では、ゆったりとした環境で治療に専念できるよう専用ベッドを配置し、安心・安全な治療を受けられる環境を整えています。薬剤管理は専門薬剤師等が抗がん剤を安全キャビネット内で調整し、抗がん剤治療について投与量設定やレジメンチェックを実施しています。手袋・ガウン・マスクを着用し、抗がん剤曝露を避けるとともに、安全キャビネットという装置を使って無菌的な調剤を行います。
医師、薬剤師及び看護師によるミーティングを行い、薬物療法の計画表、投与量、投与速度、副作用の有無などをチェックし、患者さんが安心して治療を受けられるように努力しています。
放射線療法
がんの病巣部に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる局所療法です。治療前の検査技術や照射方法の進歩によって、がん部分だけに集中的に照射することが可能になり、その効果は格段に向上しています。また、身体の外側から放射線を照射する「外部照射」だけでなく、放射線を出す物質を密封した針やカプセルを病巣部に挿入する「密封小線源治療」、放射性物質を注射や内服で投与する「放射性同位元素内用療法」もあります。放射線療法に使われる放射線としてよく知られているのはX線ですが、このほか、粒子線を使う陽子線治療や重粒子線治療も実用化が進んでいます。
放射線治療室

多様化するがんに対し、最先端のがん医療を提供する治療法が導入されています。例えば前立腺がんの治療では、リニアックを用いX線を体外から照射する外部照射の他、患部に密封された放射線同位元素を直接前立腺の中に埋め込んで内部照射する密封小線源治療があります。
密封小線源治療は、手術や外部照射に比べて治療期間が短く、心身の負担が小さいことで急速に注目を集めている治療方法です。治療成績は手術と同程度で、患者さんの負担や副作用の発生も少ないといわれています。高線量率イリジウムを用いる密封小線源治療装置(Micro Selectron HDR)は、多くの部位のがんに用いることができます。代表的な治療は子宮頸がんで、外部照射(+抗がん剤)と腔内照射の併用が標準治療とされ、その他、舌がんをはじめとする口腔がんや前立腺がんに対する組織内照射、直腸がん、胆管がんに対する腔内照射などがあります。
化学療法レジメンについて
化学療法レジメン(投与スケジュール)
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