Q1. FUSの特長は?

Answer.
FUS(集束超音波治療)は、MRIの画像モニターで患部を確認しながら、人体にはほとんど無害な超音波とMRIを用いて治療を行います。
体の外から超音波を当て治療しますから、身体を切ることはなく、安全に患部のみを焼灼します。

Q2. 音波治でどうやって治療するのですか?

Answer.
超音波とは、人の耳では音として感じられず聞くことのできない高い音波のことです。FUSでは、200個以上の発生源から多数の超音波を患部に1点集中させ、超音波の振動エネルギーを熱エネルギーに変換させることによって患部のみを焼灼します。

Q3. FUSの歴史や実績は?

Answer.
FUSは、2000年からアメリカ・カナダなどの欧米を中心に行われてきた治療法で、これまで世界で800例以上の実績が報告されています。
日本国内においては当院を含め、まだ数台しか稼働していません。

Q4. 症状改善率はどのくらいですか?

Answer.
今のところFUS後の症状の改善率は80%という報告があります。
治療で自覚症状の改善が認められないものには、改めて手術を含めた他の治療法が必要になることがあります。

Q5. FUSに適応する条件はありますか?

Answer.

FUSは、筋腫を小さくしてこれらの症状を改善するのが目的で、FUSに適応する方は次の通りです。詳しくは担当医にご相談ください。

  • 月経過多、月経痛、腹部膨満感、頻尿など子宮筋腫による自覚症状がある
  • 手術が必要と考えられるが、手術はしたくない
  • 悪性疾患(子宮癌、卵巣癌等)がない
  • MRI検査が可能で、造影剤アレルギーがない
  • 気管支喘息がない
  • 妊娠中、授乳中ではない
  • 下腹部に傷(手術痕)がない

Q6. どのような筋腫でも治療できますか?

Answer.
うつぶせになった時、腸管などが前方にあり超音波の通過範囲が取れないものは治療できません。そのため背中に近い筋腫はFUSの治療には適しません。筋腫核が4個以上の場合や、直径10cm以上の筋腫については治療にかかる時間が長くなりすぎるため、原則的には行いません。ただし、薬物治療を行って筋腫核の縮小ができれば可能になることもあります。また超音波を集束させることが困難な3cm以下の小さな筋腫も、FUSの適応外となります。

Q7. 他の疾患があっても受けられますか?

Answer.
子宮、卵巣、卵管に炎症のある場合は、炎症がおさまってから(炎症の治療が終了してから)行うことになります。子宮癌、卵巣癌など悪性疾患のある場合、子宮内膜症は適応となりません。詳細は婦人科医にお尋ねください。

Q8. 治療後の筋腫はどうなるのですか?

Answer.
超音波で焼灼された筋腫は、出血性懐死をおこします。壊死した組織は体内に残ることになりますが、感染等を合併しない限り特に問題になることはありません。その後、筋腫核は徐々に縮小し、症状は緩和されていきます。ただし、FUSそのものの歴史が浅いため、3年以上の長期効果については今後に期待が寄せられています。

Q9. 再発の可能性はありますか?

Answer.
FUSは根治治療ではなく、筋腫核を小さくする治療であるため、再発の可能性がまったくないわけではありません。
子宮を温存する手術などのその他の治療と同様です。

Q10. 正常な子宮や卵巣に影響はありますか?

Answer.
FUSでは200個以上の発生源から出る超音波を集束させることで集束部分の温度を上げ、治療に用います。超音波通過部分でも多少の温度上昇がありますが、不可逆的な組織損傷を起こすものではないため、正常な子宮組織、卵巣等には特に影響を及ぼさないと考えています。

Q11. 副作用や危険性はありますか?

Answer.
他の治療法と比べ、副作用はほとんどありません。しかし治療後まれに、腹痛、嘔気、発熱、皮膚の発赤、軽い火傷、背部通、下肢の痛み(坐骨神経に沿う)などの症状がでる場合があります。

Q12. 将来、妊娠・出産は可能ですか?

Answer.
FUSは、子宮の正常部分、卵巣等への影響がない、あるいは非常に小さいと考えられます。しかしFUSはまだ歴史が浅く妊娠・分娩のデータはわずかしかありませんので、治療後にどのような影響があるのかは不明です。しかし、実績が増えてきた最近では将来の妊娠を希望する方にも治療を行うようになってきています。

Q13. 治療はどのように行われるのですか?

Answer.
治療はMRI室で行います。事前に専門の医師が患者様のMRI画像を十分検討したうえで治療を行います。

Q14. 麻酔はするのでしょうか?

Answer.
手術治療や子宮動脈塞栓術に比べて痛みも軽いため、特別な麻酔は必要としませんが、少量の抗不安薬や鎮痛剤を用います。

Q15. 苦痛を伴いませんか?

Answer.
治療中は尿道に管を入れ、MRIにうつぶせになり3 ~ 5時間じっとしているだけです。
治療中や治療後に軽度 ~ 中等度の痛み、嘔気、気分不快などの症状があらわれることがありますが、手術治療、子宮動脈塞栓術と比較すると低侵襲の治療法といえます。

Q16. 治療に際しての処置は?

Answer.
療前には約4時間の絶食が必要です。
治療に際しては腹部の剃毛後に尿道にカテーテルを留置し、点滴を行います。
水分は治療中に摂ることが可能です。

Q17. 保険は適用されますか?

Answer.
現在、「集束超音波治療」は保険適応外ですので、治療費は全額自己負担となります。

Q18. 入院は必要ですか?

Answer.
1泊2日での治療をお薦めしています。ご希望によっては日帰り治療も可能です。

Q19. 院内の治療環境は?

Answer.
MRI画像室・集束超音波装置室を完備した1階フロア、2階には治療前後にゆっくりと体を休めていただける明るく快適な個室をご用意しています。ご希望があれば短期入院も可能です。

Q20. 治療後、日常生活に復帰できる日数は?

Answer.
個人差がありますが、早い方は翌日、おおむねは1~2日のうちに元の生活に戻れます。