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低侵襲性の治療

低侵襲性の治療
MINIMALLY INVASIVE TREATMENT


低侵襲性治療
UAE(子宮動脈塞栓術)

低侵襲性の治療

~切らない/メスを使わない子宮筋腫の治療~

子宮動脈塞栓術とは?(UAE:uterine artery embolization)

子宮筋腫は、主として子宮動脈という血管から血液供給を受けて増大していきます。子宮筋腫は筋腫が増大し周囲が圧迫されることによる腰痛や頻尿のほか、最も多いものが過多月経で、血の固まりがたくさん出たり、貧血をおこしたり、めまいやだるさ、動悸(心臓がドキドキする)といった症状がみられます。
UAEは、その子宮筋腫への血流を遮断することで筋腫を壊死に陥らせる治療法です。一旦壊死に陥った筋腫は変性し縮小していき、筋腫により生じた症状が緩和されていきます。

子宮動脈塞栓術には、直径約1.7mm程度の細長いチューブを使用します。そのため、ほとんど体を傷つけずに治療する事ができます。このチューブを右足の付け根から挿入し、X線で観察しながら筋腫に栄養を送っている子宮動脈まで進めます(図)。チューブからゼリー状の詰めものを流し、子宮動脈を詰まらせることにより、子宮筋腫は栄養を絶たれて小さくなり始めます。1年後には元のサイズの30~40%ぐらいになります。
UAEは再発が非常に少なく、外科的手術に比べて身体の回復が早く、傷も残りません。子宮を温存したままで、症状の消失や改善が期待できる治療法です。

<実際の症例> 術前

<実際の症例> 術後(約1年後)

UAEの手技について

手技に要する時間は全体で約1.5時間程度です。針を刺してから抜くまでは約1時間程度です。終了後は5時間安静にし、その後は歩行も食事もできます。お腹を切らないため、UAE後に体に残るのは右足付け根の小さな傷のみです。

UAE後について

UAE後は子宮の血流が減少するため、しばらくお腹の痛みがあります。そのため痛み止めのお薬で痛みのコントロールをします。短期間(当院では通常4日間あるいは5日間)の入院で、日常生活に戻れます。

UAEの効果

UAE後に栄養を絶たれた子宮筋腫はしだいに小さくなり、筋腫の体積は1年で元の30~40%程度にまで縮小します。月経に伴う症状は、数ヶ月で多くの方が改善します。圧迫症状も数ヶ月~1年程度で多くの方が改善します。

UAEの利点

UAE は全身麻酔ではなく、局所麻酔で行います。UAEの手技時間は比較的短く、外科的手術に比べてリスクが比較的少ない治療法です。短期間(当院では通常4日間あるいは5日間)の入院で、日常生活に戻れます。UAE後に体に残る傷は、右足付け根の小さな傷のみです。

UAEの欠点

病変の組織検査ができない事です。また、一時的ですが術後のお腹の痛みが強い方がいます。

適応症状

  • 手術既往のある方
    以前の腹部の手術により癒着が予想される場合、摘出手術で難航する場合があります。(癒着がある場合での開腹手術は、尿管、膀胱、直腸などの骨盤臓器を傷つける危険性もあります)
  • 子宮筋腫と症状との関係が不明な方
    症状が典型的でなく、摘出手術で症状の改善が確約できない場合、外科的手術は消極的になります。UAEも効果があるかわかりませんが、やり直しのきかない子宮摘出術とは違うので安心です。

その他ご要望

  • お腹を切りたくない方、子宮を温存したい
    UAE はいわゆる外科的手術ではなく、お腹を切る必要がありません。子宮を温存することができます。
  • 宗教上の理由で輸血はしたくない
    輸血の可能性はまずありません。
  • 費用について
    UAE は保険適用となり、自己負担が大幅に軽減されました。
    UAEは新しい治療のため長らく自己負担でしたが、2014年1月から塞栓物質であるエンボスフィアという薬剤が保険収載されました。それに伴い保険適用で治療を行っています。

よくある質問

UAEは月経中でもできますか?
UAEは月経中でもできます。
UAE後に月経がなくなってしまうことがありますか?
卵巣機能の低下によりUAE後には月経がなくなってしまうことがあります。 44歳以下での卵巣機能低下はまれで1%未満といわれています。45歳以上の場合5-10%の方でUAE後に閉経が早まるか、そのまま閉経になることがあります。 また、まれに子宮内膜が癒着を起こすことがあります。
UAE後に妊娠・出産できますか?
可能です。UAE後に妊娠・出産した報告はされていますが、UAEは将来の妊娠・出産を確実に保障するものではありません。
入院期間、術後のスケジュールは?
当院では通常4日間あるいは5日間の入院で、日常生活に戻れます。
子宮腺筋症にも有効ですか?
子宮筋腫ほどの効果は期待できませんが、最近の報告では子宮腺筋症に対しても一定の効果があると考えられています。
UAEは保険が利きますか?
UAEは新しい治療のため長らく自己負担でしたが2014年1月から塞栓物質であるエンボスフィアが保険収載されました。
ただし塞栓物質の使用に関して厚生労働省の依頼により学会が定めた術者要件、施設要件、子宮筋腫に対する実地要件を満たすことが前提となります。
会津中央病院ではこの要件を満たしており、保険適用となります。