子宮筋腫の治療
TREATMENT OF UTERINE FIBROIDS
子宮筋腫の治療
子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、特に症状がない場合は定期的な検診や経過観察で対応していきますが、症状があり治療が必要と診断された場合には、以下のような治療を行います。治療法は筋腫の場所や大きさ、年齢や妊娠・出産希望の有無などを複合的に考え選択します。
子宮筋腫の治療
子宮筋腫の治療法
1.手術による治療
手術には、筋腫のみをくりぬく「核出手術」と、子宮全体をとる「子宮全摘手術」があります。強さやライフスタイルによって異なります。
1.核出手術
- 腹腔鏡下手術 … 腹腔鏡で行う核出手術
- 子宮鏡手術(経膣的手術) …子宮鏡で行う粘膜下筋腫の核出手術
- 子宮筋腫核出術 … 開腹手術で子宮筋腫のみ取り出すもの
2.全摘手術
- 子宮摘出術(腹式、膣式) … 手術により子宮を取り出す
2.手術について
腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM)
治療法の特長
開腹手術より小さな傷で手術するため、術後の回復が早く、入院期間が短く済みます。
筋腫のみを摘出し、子宮を温存するため、術後の妊娠・出産が可能です。
- 適応になる筋腫
主に漿膜下筋腫、筋層内筋腫(10cm 程度まで) - 適応になりにくい筋腫
子宮壁を構成する筋層の中にできる、最も発生頻度が高い筋腫です。大きくなると月経時の出血量過多などの症状が現れます。
子宮鏡下筋腫切除術
治療法の特長
膣から子宮口を経由して入れた内視鏡で手術するため、体に傷がつかない治療法です。
入院期間が3日程度と短く済み、また過多月経(貧血)に対する効果が高いです。
- 適応になる筋腫
有茎粘膜下筋腫 - 適応になりにくい筋腫
漿膜下筋腫、筋層内筋腫、無茎粘膜下筋腫
開腹筋腫核出術
治療法の特長
子宮が温存されるので、将来の妊娠・出産が可能です。また、腹腔鏡では見えない深い位置の筋腫も核出可能です。
- 適応になる筋腫
有茎粘膜下筋腫以外の筋腫 - 適応になりにくい筋腫
有茎粘膜下筋腫
3.薬物による治療
1.症状に対しては…
痛みを鎮めるための鎮痛剤、大量の月経で貧血を起こしている場合は貧血の治療薬などが使用されます。
.2.筋腫の縮小に対しては…
漢方療法などもありますが、主にはGnRHアゴニストという女性ホルモンの分泌を抑えて筋腫を小さくする薬が使われます。
副作用もあるのであまり長期間はできません。更年期に近い人や手術前の治療法としてよく使われています。
4.子宮動脈塞栓術(UAE)
太ももの付け根付近から2㎜程のカテーテルを挿入して子宮動脈だけを詰め、筋腫を縮小させる治療です。開腹手術に比べ傷跡は小さく、入院期間も短くできます。
5.FUS治療法
太ももの付け根付近から2㎜程のカテーテルを挿入して子宮動脈だけを詰め、筋腫を縮小させる治療です。開腹手術に比べ傷跡は小さく、入院期間も短くできます。
腹腔鏡下手術 | 子宮鏡下手術 | 開腹筋腫核出術 | 開腹子宮全摘手術 | UAE (子宮動脈塞栓術) |
FUS (集束超音波治療) |
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適応 | 大きすぎたり、数が多くない筋腫 | 粘膜下や子宮内膜に近い筋層内の筋腫 | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 大きさが3センチ以上10センチ以下で腹臥位(うつぶせ)で筋腫と腹壁の間に腸管を認めない筋腫 |
メリット |
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デメリット |
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治療時間 | 2時間 | 1時間弱 | 1~1.5時間 | 1~1.5時間 | 1~1.5時間 | 3~5時間 |
再発の可能性 | ある | ある | ある | ない | 低い | ある |
妊娠の希望 | ◯ | ◯ | ◯ | × | △ | △ |
子宮温存 | △ | △ | △ | × | ◯ | ◯ |
入院期間 | 4日~1週間 | 1泊2日~ | 1週間~10日 | 1週間~10日 | 1泊2日~ | 日帰り可能 |
休業期間目安 (入院含む) |
2週間 | 1週間 | 3週間 | 3週間 | 4〜5日 | 1日 |
費用・ 健康保険適用 |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ×(自費治療48万) |
子宮筋腫の治療が必要になったときは
専門医と積極的に話し合い、「なぜこの治療法なのか、治療後はどうなるのか」などをよく理解して、納得して受けましょう。
また経過観察中は3~6ヶ月ごとに受診し、定期的に画像診断(エコーなど)を受けるようにしましょう。
月経血の増加やおりものの異常などの症状が出てきたら、すぐに受診しましょう。
貧血を防ぐために、食生活で鉄分補給を心がけましょう。
月経痛、腰痛には鎮静剤を用いますが、月経以外のときでも必要になってきた場合は、すぐに受診しましょう。