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子宮筋腫治療センター

Aidu Chuo Hospital
Uterine-Fibroid Treatment Center
子宮筋腫治療センター

気づかない間に進行する子宮筋腫ってどんな病気?

子宮筋腫は、子宮の筋層の中にできたこぶのような良性の腫瘍で、筋肉が異常に増殖してできたものです。20代~50代の女性の4人に1人は筋腫があるといわれるほど一般的な病気です。悪性腫瘍に変化することはまれですが、できる場所や大きさによっては貧血や便秘、強い月経痛などのつらい症状が出ることもあります。自覚症状が全くない人もいますが、不妊や流産の原因になることもあるため、専門医での定期検診が大切です。

子宮筋腫の原因

まだ十分に解明されていませんが、卵巣から分泌される女性ホルモンの一種「エストロゲン」の影響で大きくなることが知られています。従って、閉経後は自然と小さくなる傾向があります。現在は、初潮を迎える年齢が早まったことや出産回数が減ったことなどから、エストロゲンの分泌期間が長くなり、筋腫の発生する可能性は増えているといわれています。

子宮筋腫の種類

筋腫ができる部位によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下(しょうまくか)筋腫、頸部筋腫の4つに分けられます。

  • 粘膜下筋腫(右図オレンジ色部分)
    子宮内膜の下にでき、筋腫が子宮の内側へと発達します。膣へ飛び出るものや茎ができてぶら下がるものもあります。月経時の出血が多くなる、貧血などの症状が現れます。
  • 筋層内筋腫(右図青色部分)
    子宮壁を構成する筋層の中にできる、最も発生頻度が高い筋腫です。大きくなると月経時の出血量過多などの症状が現れます。
  • 漿膜下筋腫(右図赤色部分)
    子宮の外側に向かって大きくなる筋腫で、子宮から飛び出すこともあります。他の筋腫と違って症状があまりでないため、気付きにくい筋腫です。筋腫が大きくなると膀胱や直腸など他の臓器を圧迫し、頻尿や便秘になることもあります。
  • 頸部筋腫(右図緑色部分)
    子宮から膣への出口付近にできる筋腫です。大きくなると過多月経や貧血、頻尿などの症状が現れます。

主などんな症状

周囲が圧迫されることによる腰痛や頻尿のほか、最も多いものが過多月経です。頻繁にナプキンを取り替えないと間に合わない、血の固まりがたくさん出るなどの症状から貧血がおこり、めまいやだるさ、動悸(心臓がドキドキする)といった症状がみられます。

症状の種類

過多月経ナプキンの交換が頻繁で、レバーのような血の塊がでる
貧血鉄欠乏性貧血で、動悸、息切れ、めまい、疲れが起こる
月経痛子宮内部が圧迫され、ひどい月経痛が起こる
下腹部痛・腰痛骨盤神経が圧迫され下腹部痛や腰痛が起こる
頻尿膀胱圧迫による頻尿
便秘・腰痛直腸圧迫による便秘や腰痛、足のしびれ

子宮筋腫は自覚症状がない人も多く、症状やその程度は人によっても様々です。年に一度は、専門医で定期検診を受けましょう。

子宮筋腫の検査方法

問診後、症状に応じて次のような検査を主に行います。

スクロールできます
1. 外診下腹部にこぶや炎症がないかなどを確認します。
2. 内診腟内とお腹の上に手をあて、子宮の大きさや形、表面の状態や硬さなどを調べます。また筋腫がある場合は、周囲との癒着を起こしていないかを調べます。
3. 超音波検査(エコー)超音波を出す「プローブ(探査子)」という器具をおなかの表面にあてて、子宮や卵巣などの内臓にあたってはね返ってきた音波をモニターで画像として映し出します。また、経腟エコーといって、細く長いプローブを腟の中に入れて、中から超音波をあてて見ることもあります。
4. CT検査・MRI検査CTやMRI検査で筋腫の種類や大きさや腫瘤の中の状態が詳しく分かります。
5. 細胞診腟鏡診の時に綿棒で子宮頸部の表面をこすって細胞を取り、がんの心配がないかも併せて調べます。診察はすぐに終わり、痛みはありません。
6. 血液検査ホルモンのバランスや貧血の有無を調べます。異常があれば、精密検査を受けます。

子宮筋腫の治療法

子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、特に症状がない場合は定期的な検診や経過観察で対応していきますが、症状があり治療が必要と診断された場合には、以下のような治療を行います。治療法は筋腫の場所や大きさ、年齢や妊娠・出産希望の有無などを複合的に考え選択します。

1.手術による治療

手術には、筋腫のみをくりぬく「核出手術」と、子宮全体をとる「子宮全摘手術」があります。強さやライフスタイルによって異なります。

1-1.核出手術

  • 腹腔鏡下手術 … 腹腔鏡で行う核出手術
  • 子宮鏡手術(経膣的手術) …子宮鏡で行う粘膜下筋腫の核出手術
  • 子宮筋腫核出術 … 開腹手術で子宮筋腫のみ取り出すもの

1-2.全摘手術

  • 子宮摘出術(腹式、膣式) … 手術により子宮を取り出す

2.手術について

腹腔鏡下子宮筋腫核出術(LM)

治療法の特長

開腹手術より小さな傷で手術するため、術後の回復が早く、入院期間が短く済みます。
筋腫のみを摘出し、子宮を温存するため、術後の妊娠・出産が可能です。

  • 適応になる筋腫
    主に漿膜下筋腫、筋層内筋腫(10cm 程度まで)
  • 適応になりにくい筋腫
    子宮壁を構成する筋層の中にできる、最も発生頻度が高い筋腫です。大きくなると月経時の出血量過多などの症状が現れます。

子宮鏡下筋腫切除術

治療法の特長

膣から子宮口を経由して入れた内視鏡で手術するため、体に傷がつかない治療法です。
入院期間が3日程度と短く済み、また過多月経(貧血)に対する効果が高いです。

  • 適応になる筋腫
    有茎粘膜下筋腫
  • 適応になりにくい筋腫
    漿膜下筋腫、筋層内筋腫、無茎粘膜下筋腫

開腹筋腫核出術

治療法の特長

子宮が温存されるので、将来の妊娠・出産が可能です。また、腹腔鏡では見えない深い位置の筋腫も核出可能です。

  • 適応になる筋腫
    有茎粘膜下筋腫以外の筋腫
  • 適応になりにくい筋腫
    有茎粘膜下筋腫

3.薬物による治療

1.症状に対しては…

痛みを鎮めるための鎮痛剤、大量の月経で貧血を起こしている場合は貧血の治療薬などが使用されます。

.2.筋腫の縮小に対しては…

漢方療法などもありますが、主にはGnRHアゴニストという女性ホルモンの分泌を抑えて筋腫を小さくする薬が使われます。
副作用もあるのであまり長期間はできません。更年期に近い人や手術前の治療法としてよく使われています。

4.子宮動脈塞栓術(UAE)

太ももの付け根付近から2㎜程のカテーテルを挿入して子宮動脈だけを詰め、筋腫を縮小させる治療です。開腹手術に比べ傷跡は小さく、入院期間も短くできます。

5.FUS治療法

太ももの付け根付近から2㎜程のカテーテルを挿入して子宮動脈だけを詰め、筋腫を縮小させる治療です。開腹手術に比べ傷跡は小さく、入院期間も短くできます。

子宮筋腫治療の比較

スクロールできます
腹腔鏡下手術子宮鏡下手術開腹筋腫核出術開腹子宮全摘手術UAE
(子宮動脈塞栓術)
FUS
(集束超音波治療)
適応大きすぎたり、数が多くない筋腫粘膜下や子宮内膜に近い筋層内の筋腫制限なし制限なし制限なし大きさが3センチ以上10センチ以下で腹臥位(うつぶせ)で筋腫と腹壁の間に腸管を認めない筋腫
メリット・手術の傷が目立たない
・開腹より術後の回復が早い
・開腹より痛みが軽い
・子宮鏡下より適応が広い(出産経験なくても可能)
・おなかを切らない。
・術後の痛みが少ない
・入院期間が短い
・貧血に対する効果が大きい
多発性や大きな筋腫でも安全に手術できる・多発性や大きな筋腫でも安全に手術できる
・核出術に比べ出血のリスク低い
・月経中でも治療可能
・手術に比べ、回復が早い
・子宮が温存できる。
・傷が残らない
・筋腫の数や場所を問わない
・保険治療でできる
・日帰り可能
・回復が早い
・子宮が温存できる
・傷がない
・体への負担が軽い
デメリット・開腹手術より手術時間がかかる・出産経験がある方 に限られる
・摘出可能な腫瘍の大きさに限界がある
・二度に分け手術することがある
・他の疾患の同時治療ができない
・大きな傷が残る
・入院期間が長い
・出血のリスク大
・大きな傷が残る
・入院期間が長い
・妊娠できなくなる
・病変の組織検査ができない
・術後、一時的にある程度の痛みがある
・まれに月経がなくなることがある
・自費のため治療費が高い
・治療に時間がかかる
・手術・UAEに比べ効果が不確実
・病変の組織検査ができない
・国内症例が少なく、妊娠への影響が不明確
治療時間2時間1時間弱1~1.5時間弱1~1.5時間弱1~1.5時間弱3~5時間
再発の可能性あるあるあるない低いある
妊娠の希望×
子宮温存×
入院期間4日~1週間1泊2日~1週間~10日1週間~10日1泊2日~日帰り可能
休業期間目安
(入院含む)
2週間1週間3週間3週間4〜5日1日
費用・
健康保険適用
×(自費治療48万)

切らない/メスを使わない子宮筋腫の低侵襲性治療

子宮動脈塞栓術とは?
(UAE:uterine artery embolization)

子宮筋腫は、主として子宮動脈という血管から血液供給を受けて増大していきます。子宮筋腫は筋腫が増大し周囲が圧迫されることによる腰痛や頻尿のほか、最も多いものが過多月経で、血の固まりがたくさん出たり、貧血をおこしたり、めまいやだるさ、動悸(心臓がドキドキする)といった症状がみられます。
UAEは、その子宮筋腫への血流を遮断することで筋腫を壊死に陥らせる治療法です。一旦壊死に陥った筋腫は変性し縮小していき、筋腫により生じた症状が緩和されていきます。

子宮動脈塞栓術には、直径約1.7mm程度の細長いチューブを使用します。そのため、ほとんど体を傷つけずに治療する事ができます。このチューブを右足の付け根から挿入し、X線で観察しながら筋腫に栄養を送っている子宮動脈まで進めます(図)。チューブからゼリー状の詰めものを流し、子宮動脈を詰まらせることにより、子宮筋腫は栄養を絶たれて小さくなり始めます。1年後には元のサイズの30~40%ぐらいになります。
UAEは再発が非常に少なく、外科的手術に比べて身体の回復が早く、傷も残りません。子宮を温存したままで、症状の消失や改善が期待できる治療法です。

<実際の症例> 術前

<実際の症例> 術後(約1年後)

UAEの手技について

手技に要する時間は全体で約1.5時間程度です。針を刺してから抜くまでは約1時間程度です。終了後は5時間安静にし、その後は歩行も食事もできます。お腹を切らないため、UAE後に体に残るのは右足付け根の小さな傷のみです。

UAE後について

UAE後は子宮の血流が減少するため、しばらくお腹の痛みがあります。そのため痛み止めのお薬で痛みのコントロールをします。短期間(当院では通常4日間あるいは5日間)の入院で、日常生活に戻れます。

UAEの効果

UAE後に栄養を絶たれた子宮筋腫はしだいに小さくなり、筋腫の体積は1年で元の30~40%程度にまで縮小します。月経に伴う症状は、数ヶ月で多くの方が改善します。圧迫症状も数ヶ月~1年程度で多くの方が改善します。

UAEの利点

UAE は全身麻酔ではなく、局所麻酔で行います。UAEの手技時間は比較的短く、外科的手術に比べてリスクが比較的少ない治療法です。短期間(当院では通常4日間あるいは5日間)の入院で、日常生活に戻れます。UAE後に体に残る傷は、右足付け根の小さな傷のみです。

UAEの欠点

病変の組織検査ができない事です。また、一時的ですが術後のお腹の痛みが強い方がいます。

適応症状

  •  手術既往のある方
    以前の腹部の手術により癒着が予想される場合、摘出手術で難航する場合があります。(癒着がある場合での開腹手術は、尿管、膀胱、直腸などの骨盤臓器を傷つける危険性もあります)
  •  子宮筋腫と症状との関係が不明な方
    症状が典型的でなく、摘出手術で症状の改善が確約できない場合、外科的手術は消極的になります。UAEも効果があるかわかりませんが、やり直しのきかない子宮摘出術とは違うので安心です。

その他ご要望

  •  お腹を切りたくない方、子宮を温存したい
    UAE はいわゆる外科的手術ではなく、お腹を切る必要がありません。子宮を温存することができます。
  •  宗教上の理由で輸血はしたくない
    輸血の可能性はまずありません。
  •  費用について
    UAE は保険適用となり、自己負担が大幅に軽減されました。
    UAEは新しい治療のため長らく自己負担でしたが、2014年1月から塞栓物質であるエンボスフィアという薬剤が保険収載されました。それに伴い保険適用で治療を行っています。
UAEは月経中でもできますか?

UAEは月経中でもできます。

UAE後に月経がなくなってしまうことがありますか?

卵巣機能の低下によりUAE後には月経がなくなってしまうことがあります。 44歳以下での卵巣機能低下はまれで1%未満といわれています。45歳以上の場合5-10%の方でUAE後に閉経が早まるか、そのまま閉経になることがあります。 また、まれに子宮内膜が癒着を起こすことがあります。

UAE後に妊娠・出産できますか?

可能です。UAE後に妊娠・出産した報告はされていますが、UAEは将来の妊娠・出産を確実に保障するものではありません。

入院期間、術後のスケジュールは?

当院では通常4日間あるいは5日間の入院で、日常生活に戻れます。

子宮腺筋症にも有効ですか?

子宮筋腫ほどの効果は期待できませんが、最近の報告では子宮腺筋症に対しても一定の効果があると考えられています。

UAEは保険が利きますか?

UAEは新しい治療のため長らく自己負担でしたが2014年1月から塞栓物質であるエンボスフィアが保険収載されました。
ただし塞栓物質の使用に関して厚生労働省の依頼により学会が定めた術者要件、施設要件、子宮筋腫に対する実地要件を満たすことが前提となります。
会津中央病院ではこの要件を満たしており、保険適用となります。

子宮筋腫の治療が必要になったときは?

専門医と積極的に話し合い、「なぜこの治療法なのか、治療後はどうなるのか」などをよく理解して、納得して受けましょう。
また経過観察中は3~6ヶ月ごとに受診し、定期的に画像診断(エコーなど)を受けるようにしましょう。
月経血の増加やおりものの異常などの症状が出てきたら、すぐに受診しましょう。
貧血を防ぐために、食生活で鉄分補給を心がけましょう。
月経痛、腰痛には鎮静剤を用いますが、月経以外のときでも必要になってきた場合は、すぐに受診しましょう。