◇ 救命救急センターの特徴

会津地区の広大なエリアから、救急車やヘリコプターで来院した重症患者の診療や治療を担当します。また、夜間休日外来に来院した患者で呼吸・循環・意識状態に重大な問題がある場合や病棟入院中の患者の急変にも対応しています。症例は数多く、多発外傷・中毒・呼吸不全・循環不全・複数科にまたがる重症疾患の入院診療を行っています。
救命救急センターは全国的に他科の隙間を埋める形で、ER型(応急処置と各科への振分け)から自己完結型(急性期の治療をすべて行う)までありますが、当院はその中間とも言えますし、両方とも言えます。(大都市圏ではマンパワーから考えて極めて困難ですが、地方都市では可能です)2010年AHAの蘇生ガイドラインが発表される以前より、会津地域の心肺停止蘇生後患者を当院に集約し、脳低温療法を含めた集中治療により良好な成績を得ています。

◇ 地域医療をまもる

会津中央病院救命救急センターは、会津方部全域をカバーする第3次救急医療施設(ICU・HCU病床数20床)として、昭和61年10月に運営開始となっています。24時間体制で、初期及び2次救急医療施設、及び消防機関との円滑な連携体制の基に、重症患者の受入を行なっています。会津地域は、栃木県や新潟県との県境は、典型的な山間僻地地域を有しており、救急搬送に長時間を要することにより、センター開設当初から「救急現場からの医療」を目的に“ドクターカー”の導入を図り、ドッキング方式による運用を行なっていることも特徴といえます。救命救急センターとは、極めて重症な救急疾患及び外傷に対し、救命処置を行い高度な集中的治療を24時間体制および年中無休で行なう施設であり、高度な知識・技術と共に極めて体力・集中力が必要となる職場となるが、救命医師、救命救急看護師、救命ME、救命救急事務スタッフなどの沢山のスタッフにて運営されています。

◇ ラピット・レスポンス・ヘリの導入

平成25年からは、ドクターカーと連携して運用を行なうヘリコプターの運航も開始しました。私たちはこのヘリを「ラピット・レスポンス・ヘリ」と呼んでいますが、第1 の目的としては、医師・看護師を先行させ治療開始までの時間を更に短縮させるためのものです。救急医療を必要とするへき地・遠隔地にヘリコプターを利用し医療スタッフを投入し救急活動をする方法を行っております。地域の特色を理解し、また持てるツールを全て使い、会津地域の救急医療の充実を図っています。

◇ 診療科においてのカリキュラムや目標

ACLS(Advanced Cardiac Life Support)の実技
JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)の実技
ISLS(Immediate Stroke Life Support)の実技
救急患者の初期診療・検査・評価・治療・説明が上級医の監督のもとで行えること。

◇ 研修医に一言

学術的な研修に関しては大学病院や大都市の大病院に比べ劣ることは否めませんが、気管挿管・中心静脈路刺入・気管切開・創縫合・胸腹部超音波検査の術者になる機会は明らかに多いはずです。また、ここ会津の住民はほとんど素直な人たちです。“お医者様”という言葉が通用するところです。研修医に対しても信頼感を抱いています。患者と良好な関係を保ちながら研修できる地域であると、自信を持って言えます。

◇ 研修後の進路や目標

医師としての臨床経験5年、日本救急医学会入会3年、当施設など救急医学会専門医指定施設勤務3年で救急科専門医受験資格を得ます。診療実績表提出と筆記試験で選抜されます。
当然初期研修だけでは専門医資格は取得できません。当院ないし他の救命救急センターで後期研修を受ける必要があります。救急科専攻を希望して当院で初期研修を受けた医師はこれまでに1名ですが、後期研修を日本医科大学千葉北総病院で受けています。

 

小林辰輔 Tatsuho Kobayashi

救命救急センター所長

出身大学:
熊本大学
認定資格:
日本救急医学会指導医、日本外傷学会専門医、日本外科学会専門医
所属学会:
日本救急医学会、日本外傷学会、日本外科学会、日本集団災害医学会、
日本Acute Care Surgery学会、日本IVR学会、日本熱傷学会