呼吸器外科 研修プログラム
1.プログラムの目的と特徴
各種疾患の病態生理から診断法(問診、診察、基本的検査法、特殊検査法)の理解.外科的には基本外科解剖と開胸法を理解する。周術期管理を研修し、基本的外科治療の適応を理解する。麻酔時の左右分離肺換気法を理解する。
2.研修内容

 症例を通じて症状、理学的所見、検査の実地修練。気管支鏡検査法を理解し介助。呼吸不全患者の病態(経皮的酸素飽和度、動脈血液ガス分析の理解)。人工呼吸器管理とならびに栄養などの全身管理。手術介助と周術期管理の実施。呼吸器外科の基本手技として胸腔ドレーンの挿入と陰圧持続吸引の理論と管理。気管切開の実践と管理。肺切除術に際して基本的開胸・閉胸を実践する。


■ 呼吸器外科専門医志望者の方へ

呼吸器外科を志望するものは外科専門医の修得後、呼吸器外科コースとして合同委員会呼吸器外科専門医修練基幹施設あるいは関連施設での研修・診療実績の蓄積が必須となります。内容は、3年目~4年目(研修終了後2年間)は,外科部門で一般外科学,消化器外科学を中心に研修実績を説明します。実地訓練施設は、研修認定あるいは関連施設認定のある大学病院あるいは市中病院となります。最初の目標としては、外科専門医の取得が目標となります。

呼吸器外科専門医志望者の方へ
【3年目~4年目】

 

  • 行動目標
  • 一般外科学、消化器外科学、頸部、胸部外科全般の研修(呼吸器外科、心臓血管外科、甲状腺外科総論、外科解剖、生理、病理)の理解。さらに各専門領域の症候から診断法(問診、診察、基本的検査法、特殊検査法)の理解と実施および病態生理の評価。手術適応を理解し、手術の介助、実地体験。

  • 研修内容
  • 治療計画、手術、周術期管理の実施

  • 外科専門医取得の準備
  •  学会、セミナー参加、症例報告の口頭又は誌上発表。

    1. 呼吸器外科手術執刀は一般良性疾患を中心に30例を目標とする。
    2. 外科専門医資格取得は卒後5年を経過した時点から可能になりますが、指定又は関連施設での手術経験が必要です。2年間の初期研修の間に経験した手術は研修が終わった後半年以内に外科学会に登録すれば、専門医のための手術経験として加えることができます
    【5年目~7年目】(呼吸器外科専門医取得の準備)
  • 行動目標
  • 呼吸器外科診療に必要な外科解剖、病態生理、手術適応を理解し、手術の介助と執刀症例の蓄積。専門研修開始として、呼吸器外科専門研修のレベル1に進む。

  • 実地訓練施設
  • 合同委員会呼吸器外科専門医修練基幹施設あるいは関連施設にて研修。

  • 呼吸器外科専門医の取得の準備
  •  日本呼吸器外科学会、日本胸部外科学会への入会。

  • 手術経験
  •  3年間の間に胸腔鏡下手術を含む悪性肺疾患に対する肺切除術の執刀を30例以上行う。縦隔腫瘍摘出術、胸壁疾患、胸膜疾患、多汗症などの機能的疾患の手術経験を蓄積する。日本医科大学付属病院呼吸器外科と埼玉県立がんセンター胸部外科で各1年間の研修を行う。他、4施設のうち2施設での6ヶ月の研修を行う。3年間で300例の手術症例経験を目標とする。症例を通じて手術ならびに周術期管理の後進の指導。

  • 業績の蓄積
  •  総会での3回以上の呼吸器外科に関する筆頭発表、セミナー参加、呼吸器外科に関する筆頭論文1編を含む3編以上の誌上発表を義務づける。
    期間:3年間

    【8年目(初期研修終了6年目)】(呼吸器外科専門医取得者が該当)
  • 行動目標
  • 呼吸器外科診療の実地修練を各基幹・関連施設において各経験年次に相当した責任ある立場での実地臨床に就く。呼吸器外科専門研修のレベル2に進む。レベル2では各基幹・関連施設での実地経験蓄積を行う。

  • 研修内容
  • 呼吸器疾患に対する外科的治療の専門知識と技術の習得(手術経験の蓄積)。肺癌に対する胸腔鏡下手術症例の蓄積。30例で後進の指導。50例以上で指導医として全体の指導にあたる。周術期管理,合併症の予防と対策)医療事故への対応。呼吸器外科指導医(仮称:従来の日本呼吸器外科学会専門医に相当する)取得の準備:学会・セミナー参加。呼吸器外科に関する学術研究の筆頭発表の蓄積、呼吸器外科に関する筆頭論文の蓄積(最低10編以上の筆頭論文) 期間は、暫定であるが専門医取得後最低6年間。上記過程が修了あるいは経過中に更なる研修,研究活動も可能である。