脳卒中センター・Sroke・脳神経外科 研修プログラム
1.プログラムの目的と特徴
この研修プログラムは、脳神経外科疾患の基本的知識の理解とそれらの疾患の診断、治療方針、手術手技の基本を修得することを目標とする。さらに手術前・後での患者管理をマスターする。
2.教育課程
■ 一般目標
脳神経外科病棟において患者を受け持ち、以下の研修を行う。
  1. 患者及びその家族との良好なコミュニケーションの維持を図る。
  2. 神経学的診察法を習得し、各所見に基づく神経学的局所診断を学ぶ。
  3. 主要な神経症候についての鑑別診断の手順を学ぶ。
  4. 意識障害患者に対する神経所見の取り方、対処法を修得する。
  5. 主要な検査手技(腰椎穿刺、脳血管撮影)を習得し、検査結果の適切な判断を学ぶ。
  6. 日々の患者の診察、採血、そのデータの評価、カルテの記載を実行する。
  7. カンファレンスにおいて、新患、問題症例、手術前後の患者についての全身状態・神経所見・検査結果等を的確に報告する。
  8. 術前に予定術式を、また術後に術中所見を的確に報告する。
  9. 手術患者の術前の諸準備と術後の管理計画を行う。
  10. 手術に際し、その内容を良く理解し手術が円滑に進むように手助けする。
  11. 術者として脳室ドレナージ術、慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫洗浄術、シャント手術、頭 蓋形成術、気管切開術などを経験する。
  12. 救急患者、急変患者に対する適切な処置法(気管内挿管、中心静脈ラインの挿入、レスピレーターの使用法)を修得する。
■ 行動目標
  • a)一般診療
    1. 問診および全身的診察ができる。
    2. 神経所見を的確に把握する。
    3. 日常の一般的投薬、術前後の処方に対する知識を身につける。
    4. 少なくとも1日 2回患者を診る習慣を付ける。
    5. 患者、家族との間に信頼関係を樹立する。
    6. 患者を中心として他診療科との統合的役割が果たせる。
  • b)疾患に対する知識
    1. 脳神経外科疾患を中心に神経疾患全般にわたり、基本的知識を身につける。
    2. 最新の知見の収集ができ、日常診療に役立てられる。
  • c)検査
    1. 全身所見のみならず神経学的理学所見を確かにし、的確な思考過程をもとに必要な補助検査の計画を立てる。
    2. 頭部・脊椎単純撮影、CTスキャン、MRI、脳波、大脳誘発電位、ミエログラフイー等を神経解剖学的知識に基づき理解できるようにする。
    3. 手術の合併症と患者のrisk factorを理解し、術前に充分な検査計画が立てられる。
    4. 腰椎穿刺や脳波モニター等、術前・術後経過の把握に必要な検査ができるようにする。
    5. 術後の経過観察に必要な検査計画を立てるとともに、術後合併症の早期発見に努める。
  • d)治療
    1. 意識障害救急患者や急変時の患者に対するprimary careが行える。
    2. 術前.術後の輪液等の管理が確実に行える。
    3. 術後の予想される合併症に関する知識を身につけ、常に対処できるようにする。
    4. 術後の創処置が的確に行えるようにする。
    5. 基本的手術手技が確実に行えるようにする。
    6. 手術での各助手の立場を理解し、充分遂行できるようにする。
    7. 外来等での小手術が的確に出来るようにする。
    8. 脳室ドレナージ術、慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫洗浄術、シャント手術、頭蓋形成術等の基本的脳外科手術を身につける。
    9. 中心静脈栄養法や経管栄養法に関する知識と施行法を修得する。
     
    神経疾患 研修プログラム
    ■ 行動目標
    • 神経学的診察が正確に行え、正常異常の判断ができる。
    • 神経解剖、生理の知識が頭に入っている。
    • 神経学的診察に基づき局所診断ができる。
    • 病歴、診察所見に基づき病因が推定できる。
    • 鑑別診断、確定診断のための検査プランが立てられる。
    • 推定した病因に基づき治療プランが立てられる。
    • 各症候の特徴、内容、病態生理を理解し、原因となる疾患の鑑別診断をあげ、鑑別診断のための適切な検査計画、治療計画を立案できる。
    • 各疾患の内容、特徴をよく理解し、確定診断のための検査計画、治療計画、経過観察のための検査計画を立案できる。
    • 神経救急疾患の内容、特徴、診断のポイントをよく理解し、それぞれの病態に対して迅速に適切な処置、検査、治療ができる。
    • 関連領域の疾患に対して、それぞれの関連専門家へのコンサルテーションが適切にでき、各専門家の指示に従って適切な検査治療が行える。
    • 神経疾患の治療について用いる薬剤については適応、使用法、維持量、効果、副作用、禁忌などについて熟知している。
    • 臨床生理検査について内容の理解、検査の計画、所見の解釈、報告書の記載を行える。
    • 神経放射線学的検査についておおよその原理、手技、方法とその適応、リスクについて知っている。またその計画が立てられる。
    • 髄液検査の手技を身につける。その適応、禁忌を理解する。
    • 免疫性神経疾患の病因、病態の理解に必要な免疫系の基礎知識を身につけ、諸検査の施行を適切に指示し、その結果を診断や治療に活用できる。
    • 遺伝性神経疾患についての病因、病態機序、診断、治療の理解に必要な神経遺伝学の基礎知識を身につける。また倫理的な面でも配慮できる。
    • リハビリテーションの適応が判断できる。患者の重症度、社会的背景から適切な目標を設定し、理学療法士、作業療法士、言語療法士、ケースワーカーとともに、適切な治療計画が立てられる。
    • 根本的治療法のない神経難病の患者、家族に対し精神的、身体的ケアを考慮できる。
    ■ 神経系疾患
    脳・脊髄血管障害、strokeの初期診断・治療
    脳・脊髄外傷、脳炎・髄膜炎、視床下部・下垂体疾患(下垂体機能障害)
    ■ 検査
    各種画像診断、脳CT, 脳MRI, SPECT、血管造影検査など