小児科臨床研修プログラム
■ 一般的目標
小児の正常な発達過程を理解し、児の健全な育成に寄与できるような知識と人間性を身につける。
小児を取り巻く環境に留意し、健全な親子関係が構築できるように支持と働きかけを行えるように努める。
予防接種に関して正しい知識と適切な手技を習得させ、あわせて予防医療の重要性を認識させる。
小児に特有な各種病態を充分理解した上で、適切な医療を行えるように研鑚する。
小児の救急医療を適切、かつ迅速に行いうるように臨床現場にて指導医のもと、経験と修練を積む。未熟児、病的新生児の病態を理解し、必要な手技を習得する。
■ 行動目標
乳児健診に参加し、多くの正常児に触れるとともに、そうでない児への対応を学ぶ。
予防接種に立会い、知識と手技を習得する。
午前の小児科外来では指導医のもと、水痘、流行性耳下腺炎等、小児期特有の急性疾患の診察を行い、病棟では川崎病、腎炎等小児急性、慢性入院児の診察を行い、治療方針を学ぶ。
午後外来では小児慢性疾患の診察に立会い、発育途上の慢性疾患児の病態、治療理念を学ぶ。
夜間は指導医とともに当直を行い、必要な手技を習得するとともに、小児の一次から三次救急までの診療を行うことで異常を見抜く“目”を養う。
帝王切開に立会い、NICUでは採血手技、点滴手技、気管内挿管の手技を習得するとともに、未熟児に対する根本的な治療理念を学ぶ。
その他、心エコー、腹部エコー、脳波、各種造影検査等に立会い、鎮静方法の他、各検査手技も極力習得してもらう。
■ 主な研修内容
指導医のもとに患者を担当し、医療面接・指導、身体診察、診断、治療、検査に従事する。
指導医のもとに初診外来研修を行う。
■ 基本的な身体診察法(医療面接・指導)
  • 診察
    • 身体計測、検温、血圧測定
    • 身体発育、精神発達、生活状況が年齢相当のものか判断でき、特徴を理解する
    • 全身観察:動作、行動、顔色、元気さ、発熱の有無、食欲の有無
    • 視診:顔貌、栄養状態、発疹、咳、呼吸困難、チアノーゼ、脱水の有無を確認できる
    • 便の正常を説明できる
    • 咳のしかた、性質・頻度、呼吸困難の有無を判断できる
    • 嘔吐、腹痛のある患者の腹部所見を描出できる
    • けいれんを診断し、応急処置ができる
    • 大泉門のはり、髄膜刺激症状の有無を判断できる
    • 胸部所見、腹部所見、頭頚部所見、眼底所見、外耳道・鼓膜、鼻、口、咽頭、口腔粘膜の所見がとれる
    • 筋・関節の所見がとれる
    ■ 一般症候の経験
    体重増加不良・哺乳力低下、発達の遅れ、発熱、脱水・浮腫、黄疸、チアノーゼ、貧血、紫斑・出血傾向、けいれん・意識障害、頭痛、耳痛、咽頭痛・口腔内の痛み、咳・喘鳴・呼吸困難、頚部腫瘤・リンパ節腫脹、鼻出血 便秘・下痢・血便、腹痛・嘔吐、四肢の疼痛、夜尿・頻尿、肥満・やせ
    ■ 基本的な臨床検査と手技
    新生児、乳幼児、小児の採血、皮下注射、静脈注射、点滴静注、輸液、輸血の施行、管理、導尿、浣腸、注腸、高圧浣腸、胃洗浄、新生児臍肉芽の処置、小児科各種画像診断、検査、処置、検診・予防接種への参画
    ■ 物療法
    小児に用いる薬剤の知識と使用法、小児薬用量の計算法、酸素療法ができる
    ■ 頻度の高い小児疾患の経験
    低体重児、新生児黄疸、おむつかぶれ、乳児湿疹、乳児下痢症、白色下痢症、急性扁桃腺炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎 小児喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、てんかん、熱性けいれん、尿路感染、川崎病、低身長・肥満、腸重積の診断と対応、虫垂炎の診断
    ■ 救急
    気道確保、人工呼吸、心マッサージ、動脈ラインの確保、蘇生術