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前立腺がんについて 泌尿器科 上田 貴之

前立腺がんについて

会津中央病院 泌尿器科 上田 貴之

前立腺がんは男性で最も多いがんです

 前立腺は膀胱の下に位置し、男性のみに存在する臓器です。前立腺がんは男性で最も多いがんであり、9人に1人がこの疾患に罹患します。早期の前立腺がんは多くの場合、自覚症状が現れません。前立腺がんの主な検査方法には、血液検査で行われるPSA検査や、肛門から前立腺の状態を触診する直腸診があります。これらの検査で異常が疑われる場合は、経直腸エコー検査や前立腺生検、画像検査などの精密検査が勧められます。

 精密検査で前立腺がんの診断となった場合、病理検査の分類で、悪性度(Gleason Score; グリソンスコア)が分かります。前立腺がんは5年生存率99%と長生きできる可能性が高いがんではありますが、この悪性度により治療方法が大きく左右されます。前立腺がんの診断の後、まずは転移があるかないかを2つの検査で行います。前立腺がんの転移は「骨」に最も多く、骨シンチという検査でチェックします。また、内臓への転移やリンパ節への転移がないかはCTを撮影します。

前立腺がん診断の流れ

前立腺がんの主な検査方法には、血液検査で行われるPSA検査や、肛門から前立腺の状態を触診する直腸診があります

前立腺のがん検診を受けましょう(PSA 検査)

 前立腺のがん検診は、市区町村から委託を受けた医療機関などで受けることができます。対象となる年齢や実施時期、費用負担は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体のがん検診担当窓口にお尋ねください。例えば、会津若松市での前立腺がん検診は、50 から74 歳の偶数年齢の男性が対象で400 円~ 500 円の自己負担額で検査可能です。


前立腺がんの主な治療方法

患者さんの元気さであったり、病歴や薬、人生観、ご家族によるサポート体制
前立腺がんの悪性度や転移の有無など、多岐にわたる要素から最適な治療法を相談していきます。

標準治療は大きく分けて、①前立腺全摘術、②放射線治療、③ホルモン治療、④経過観察の4つに分けられます。患者さんの元気さであったり、病歴や薬、人生観、ご家族によるサポート体制、そして前立腺がんの悪性度や転移の有無など、多岐にわたる要素から最適な治療法を相談していきます。

初期治療の流れ

手術(全摘手術)と放射線治療について

 転移がなく、悪性度の高い方や、患者層の中で比較的若い方であれば、「前立腺全摘術」や「放射線治療」を提案させていただく可能性が高くなります。2つの治療で、がんの根治性に差はないとされており、それぞれのメリット・デメリットを理解して選択することが望ましと考えます。メリット・デメリットは挙げればきりがありません。個人的な印象ではありますが、前立腺全摘術の一番のデメリットは尿漏れ、放射線治療は血尿・血便です。


転移について

転移がない場合

転移がない状態であれば、先に挙げた 前立腺全摘術、放射線治療、ホルモン治療、経過観察の中から、患者さんに向いている治療を提案させていただき、患者さんの希望に合わせて治療を選択します。

転移がある場合

転移が見つかってしまった場合、がんを手術ですべて取り除くことができません。前立腺全摘術や放射線治療では寿命をのばすことができず、 ホルモン治療など薬剤による治療をメインに相談していきます。

患者さん一人ひとりに合わせた医療の提供を重視

 当院では、患者さん一人ひとりに合わせた医療の提供を重視しています。患者さんの状況や検査結果、リスク分類、年齢などを考慮し、最適な治療方法を選択しています。また、身体が不自由な方や通院手段に制限がある方、遠方からいらっしゃる方など、治療に対する希望や考え方をお伝えいただければ、それを考慮しながら治療方針を決定していきます。また、他院へのセカンドオピニオンをご希望の場合や、治療が安定した患者さんの近医への紹介なども、お気兼ねなくお申し出ください。私たちは患者さんの最善の利益を考え、質の高い医療を提供することを使命として必要なサポートや情報提供を行います。