肝胆膵外科
肝胆膵外科 診療担当表
- 診療時間 午前:8:30 ~ 12:00
(原則予約制ですが、予約なしの方・急患等についても対応致します。) - 診療場所 イーストセンター棟5階
スクロールできます
受付 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
午前 | 天野 | 天野 |
肝胆膵外科
肝胆膵外科と専門性について
肝臓がん、胆道がん、膵がんなどの肝胆膵のがんは、胃や大腸などの消化器がんと比較すると診断が難しく、さらに外科手術は煩雑で困難なことが多く、高い専門性を必要とする病気です。
当科は福島県内で4施設だけが認定されている、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設のひとつです。さらに日本胆道学会、日本膵臓学会の指導施設の認定を受けています。消化器内科、放射線科、心臓血管外科などとの連携を密に行いながら、専門性の高い治療を行っています。
(参考)高度技能専門医修練施設
<福島県内の認定施設>
・福島県立医科大学附属病院
・財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院
・いわき市医療センター
・一般財団法人 温知会 会津中央病院
高度技能専門医制度とは?
日本肝胆膵外科学会では「高難度の手術をより安全かつ確実に行うことができる外科医師を育てる」ことを目的とした肝胆膵外科高度技能専門医制度が用いられています。 高い技術を持つ指導医のもと、認定を受けた施設で多くの経験を積み、高難度の手術を50例以上行った実績がある医師であることを表すものです。
当院では、天野医師が肝胆膵外科高度技能指導医の認定を受けています。
認定修練施設とは?
高難度の肝胆膵手術が可能な外科医師を育成できる施設であると認められたことを表すものです。
当院は、認定を受けた高度技能指導医や専門医による教育体制があること、年間30例以上の高難度手術の実績があることから認定修練施設(B)に認定されました。
取り扱っている主な疾患
- 悪性疾患
肝臓がん(転移性肝がん、肝細胞がん、肝内胆管がん)
胆道がん(胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がん)
膵臓がん(膵がん、のう胞性膵腫瘍、膵神経内分泌腫瘍)
- 良性疾患
胆石、胆のうポリープ、肝内結石、膵石症
- 先天性疾患
膵・胆管合流異常、先天性胆道拡張症
当科の取り組み
(手術適応拡大/安全性/根治性)
当院では肝胆膵がんの早期診断に積極的に取り組んでいますが、残念ながら進行した段階で発見されたり、他院で切除不能と診断されてから当院を受診される方もいらっしゃいます。
肝胆膵がんの手術では、根治性(がんをきれいに取り除くこと)と安全性は相反することがあります。両者の条件を満たし、さらに手術の適応を拡大するために、いくつかの工夫(術前化学療法、血流改変、門脈塞栓術、血管合併切除)を消化器内科、心臓血管外科などとの連携の下に行っています。これらの工夫を手術の前に行うことによって、これまでは手術できないと考えられていた症例が手術適応となり、安全に根治切除ができた症例を経験しています。
肝胆膵癌手術の工夫
膵癌、肝癌、胆道癌に対し、以下のような工夫を行っています。
- 適切な術式決定 → 詳細な術前検査で判断
- 術前術後化学療法 → 適応拡大、予後改善
- 血管合併切除 → 適応拡大、予後改善
- 血流改変・門脈塞栓術 → 安全性の改善
- 他科との協力(消化器科、心臓血管外科等)
- 腹腔鏡手術 → 低侵襲
症例
化学療法・放射線療法で切除可能になった切除不能進行膵癌(工夫1,2,3,4,5を実施)
大動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈浸潤を認め、切除不能と判定された症例。化学療法・放射線治療で腫瘍マーカーは正常化し、画像でも縮小しPRと判定。手術前に血流改変を行い、膵体尾部切除+腹腔動脈切除+左副腎切除(DP-CAR)を施行。
- 症例: 67歳 女性
- 術前治療: 隔週化学療法(GS) → 放射線治療(RT50.4Gy)
- 手術までの期間: 10か月
- 手術術式: 膵体尾部切除+腹腔動脈切除+左副腎切除(DP-CAR)
血流改変(消化器科)
腹腔動脈切除後(黄色での切断)の肝血流確保のために、総肝動脈(CHA)と左胃動脈(LGA)を手術前に塞栓し、血液の流れを変更(SMA→GDA→肝臓)した。
術中写真: DP-CAR
左: 腹腔動脈(CA)、上腸間膜静脈(SMA)、大動脈(Ao)周囲に癌がないことを最初に確認。
右: 手術終了時。腹腔動脈が切断されている。