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看護師に聞く 第4回「患者さんが本音を話せる関係性づくり」

人に寄り添い、語り合う看護。

看護師の役割は、治療の補佐や
患者さんの日常のケアだけではありません。
病気やケガに対する不安な気持ちを解消し、
前向きに治療に向き合えるよう寄り添うことも大切な役割。

特に癌の化学療法は、不安を感じる患者さんも多い分野です。
星看護師はそんな不安を抱える患者さんに寄り添い、
的確なアドバイスを通して心身の負担を軽減する看護をしています。

患者さんに頼られる存在になるため、何をしてきたか
星看護師にこれまでの歩みを聞いてみました。

看護師の役割は、治療の補佐や
患者さんの日常のケアだけではありません。
病気やケガに対する不安な気持ちを解消し、
前向きに治療に向き合えるよう心のケアも行います。

特に癌の化学療法は、不安を感じる患者さんも多い分野。

星看護師はそんな不安を抱える患者さんに寄り添い、
的確なアドバイスを通して心身の負担を軽減する看護をしています。

患者さんに頼られる存在になるため、何をしてきたか
星看護師にこれまでの歩みを聞いてみました。

声をかけることの大切さを学んだ新人時代

 看護師になろうと思ったのは、中学生の頃。元々人と話すことが好きで、将来は人と関わる仕事に就きたいと思っていました。介護施設にボランティアに行ったとき、そこで働く看護師さんを見て「自分も看護師になろう!」と決意。それから20年看護師を続けています。
 最初に配属されたのは産婦人科。そこには癌と闘う若い患者さんも多くいました。当時はまだ抗がん剤の副作用への対処が今ほど進んでおらず、患者さんたちの多くが吐き気などの副作用に苦しんでいる状況。そんな中で徹底して行っていたのは、患者さんへの声掛けです。せめて、心の負担が軽くできたらと思い、自分に何ができるのか考えたのが、辛い思いを話して吐き出してもらうことでした。
 まだまだ当時は私も新人。若くて頼りなかったかもしれませんが、笑顔で積極的なコミュニケーションを取ることで患者さんも打ち解けてくれ、悩みを打ち明けてくれるようになりました。患者さんから信頼してもらい心の負担を軽くするケアを行えるかどうかは、新人もベテランも関係なく、どう接するかということが大切なのかもしれませんね。この時の経験で患者さんとの会話の重要性を学び、今でも会話を大切にした看護をしています。

仕事のやりがいを見つけた癌治療分野で、看護を極めたい

 看護師の仕事は大変なことも多いのですが、モチベーションややりがいのほうが多く、仕事が辛いといったことで辞めたいと思ったことはないんです。でも、下の子を産んだあとは看護師を続けられないのでは…と悩んだ時期がありました。
 下の子どもは幼い頃喘息がひどく、夜中の発作などで仕事を休まざるをえないこともしばしば。周りに迷惑かけてしまっているのでは…。でも苦しむ子どものそばにいてあげたい…。そんな葛藤を抱え、看護師を辞める選択肢が頭をよぎることも。
 そんな辛い状況でしたが、夜勤のない関連施設へ異動をさせてもらえることになり、子どもの体調が落ち着くまで夜は家庭を最優先できる働き方をしていました。そのおかげで、こうして今でも好きな看護師の仕事でキャリアを築き続けることができています。
 当院は診療科も多く関連施設も多数あるので、働き方やキャリアの築き方にも多彩な選択肢があります。私の場合は、最初は病棟で夜勤もしながら経験を積んで、家庭の都合に合わせて夜勤のない働き方をしながらキャリアを継続。子どもの体調が安定してきたらまた徐々に仕事に重心を戻す…というように、その時々の状況に合わせた働き方ができました。
 病院での勤務に戻り、様々な科の外来で再び癌患者さんと接するうちに、癌治療の分野で専門性を高めたいと思うようになりました。元々なにか1つ自分に得意分野が欲しかったのですが、癌治療は私が看護の仕事にやりがいを感じるキッカケをくれた分野。だから、自分が成長することで患者さんたちにもっと貢献ができたらと思ったんです。それで思い切って認定看護師の資格取得に挑戦しました。
 今は「がん化学療法看護認定看護師」として外来化学療法室で抗がん剤治療を行う患者さんに向き合っています。
 

知識、考え方、行動力の面で成長できた認定学校での日々

 認定看護師の資格を取るために静岡にある学校に入ったのですが、家族の支えも大きな後押しになりました。普段から夫も家事をするので安心して子どもを任せられましたし、母も手伝いに来てくれました。子どもたちも自立心が強く「大丈夫だからお母さん頑張って!」と私の挑戦を理解してくれたのも大きな安心感でした。
 認定学校の同期生も家族と離れて学びに来た方が多く、仲間がいて心強かったですね。中には北海道から子どもと離れて勉強しに来たという方もいて、周りの仲間の覚悟とやる気に私も刺激を受けました。
 家族と離れて寂しい気持ちも少しありましたが、クヨクヨしても仕方がない。勉強の合間には静岡の観光地を回ってリフレッシュするなど、独身気分で一人暮らしを楽しむぞとポジティブに考えていました。でも、やっぱり休みに自宅に帰って家族の顔を見るのが一番の癒し。長距離の運転も苦にはなりませんでした。その時その時の状況を楽しむということが、私らしくいられるポイントなのかなと思っています。

 養成学校で印象に残っているのは実習。今でも当時の指導員とは連絡を取り合って情報交換や悩みの相談をしています。実習先の病院は癌を専門に診療と研究を行っている所で、化学療法施設も最新鋭。看護師さんたちも、私たち実習生に「普段どうやっている?」と相談してくるなど、日々貪欲に学ぶ姿勢を持っていて衝撃を受けました。
 カンファレンスにも参加させてもらい、看護師さんたちとのディスカッションもしてきました。治療に対する考え方なども深く学ぶことができ、あの実習期間は私の大きな財産です。
 認定看護師になってからも勉強することはたくさん。日々新しい抗がん剤も生まれて癌治療は進化し続けていますが、いつでも導入できるよう抗がん剤やその副作用、対処方について常に学んで準備をしています。研修や学会で全国を飛び回ることもありますが、認定学校に行っていたときに会津と静岡を頻繁に往復していたことを考えると全く苦になりません。知識だけでなくフットワークの軽さも身に付けたみたいです(笑)。

患者さんが本音を言える環境をつくる。

 看護師の大きな役割の一つが、患者さんと医師との架け橋になることです。医師も患者さんに寄り添う診察を心掛けてはいますが、「こんなこと医師に聞いていいの?」と萎縮してしまい、気になることが聞けないという患者さんも多くいます。患者さんと医師の間に立ち、両者の関係性づくりのお手伝いをすることも大事な仕事です。
 看護師に対しても、最初から本音でなんでも打ち明けてくれる方はほとんどいません。冗談っぽく「先生に聞けなかったわ~!」とポロっとこぼれてくる言葉が、患者さんの本音。私たちはそれを聞き逃してはいけません。
 入院していれば、副作用が出たときにその症状に合わせて対処できますが、外来の患者さんは薬の服用などご自身で対処する必要があります。副作用の症状を詳しく話してもらえれば、その時に合った薬の飲み分けなども伝えることができます。
 抗がん剤治療は長い期間かかります。辛いこともある治療です。でも、ご自身の状況を詳しく話してくれればその辛さを軽減することもできる。なんでも話せる関係性づくりは、患者さんの心を軽くするだけではなく、身体の辛さへのケアに直結する大切なことなのです。

患者さんには、自分らしくいてほしい。

 吐き気や下痢などの副作用には対処できる薬も多く生まれているのですが、やっぱり見た目の変化で悩む患者さんはまだまだ多いですね。
 見た目の変化によって、鏡を見て「自分は病人なんだ」と辛い気持ちになってしまったり、周りの目が気になって外に出なくなってしまう患者さんも少なくありません。癌は手術で臓器や身体の一部を失わざるをえないことも多い病気。でも、社会とのつながりや自分らしさまでも失ってほしくないんです。
 私が患者さんに副作用の対処法を伝える中で大切にしているのは、自分らしさを持ち続けること。例えば脱毛の症状なら、ウィッグで隠さないといけないと思っている患者さんも多くいますが、決してそんなことはありません。私が必ず聞くのが「どういう時にウィッグがほしい?」ということ。固定概念を打ち破れば、買い物程度なら帽子で隠して快適さを優先したり、オシャレしたいときにはスカーフで隠すなど、ウィッグを使う以外にも多彩な選択肢が生まれます。

 当院では脱毛の軽減や、抜けたとしてもまた髪がすぐ生えてくる効果が期待できる頭皮冷却装置も導入しており、外見の変化に対するケアも多角的に行っています。
 脱毛の他にも全身のニキビや爪の変色などが副作用で出やすい外見の症状ですが、事前に保湿のアドバイスをしたり軟膏を処方してもらうよう伝えたりと、先に手を打つこともできます。爪なら状態次第ではマニキュアでオシャレをしながら隠すことだってできるんです。
 抗がん剤治療の外来は、患者さんが周期的に通うため打ち解けるチャンスが多くあります。点滴中などじっくりお話を伺う時間を取りやすいのも特徴の一つですね。患者さんから副作用対策で工夫していることを教えてもらうこともあり、それを別の患者さんに伝えることも。患者さん同士の架け橋になれるのも、この分野ならではだと思います。
 患者さんたちが少しでも前向きに癌治療に臨めるよう、学び続けていきたいです。


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